2023/9/16「演劇を通じた人づくり・地域づくり」開催報告 ~第2回SDGsネットワーク事業

当法人は、持続可能な地域社会の実現に向けて、市民活動団体・行政・企業など、多様な機関・団体をつなぎ、セクターを超えた顔の見える人間関係づくりを目的に、2022年度よりSDGsネットワーク事業を展開しています。

第2回目となる今回、茅ヶ崎市出身の若手俳優・演出家で、好奇心いっぱいの茅ヶ崎の子どもたちの劇団「C.C.C.THEATER」の代表でもある原田 亮(はらだ りょう)さんをゲストスピーカーに迎えて開催。
児童演劇をはじめたきっかけ、演劇の魅力、演劇を通じた人づくり・地域づくりについて、想いの丈を語ってくださいました。


  • 日 時
    2023年9月16日(土) 14:00~16:00
  • 会 場
    ちがさき市民活動サポートセンター
    (茅ヶ崎市茅ヶ崎3-2-7)
  • 参加者
    17名(募集定員20名)
  • テーマ 
    「演劇を通じた人づくり・地域づくり」
     ~C.C.C.THEATER代表がサポセンにやってくる!  
  • 原田 亮さん(C.C.C.THEATER代表/俳優・演出・脚本・演劇活動家)
    プロフィール:
    サンフランシスコ州立大学演劇学科卒。脚本・演出・ワークショップを通してこどもたちへの児童演劇活動に携わる。また多くの海外作品に参加。アシテジ国際児童青少年協会「次世代を担う若手アーティストプロジェクト」、アジアコラボ作品「小さな紳士」、ドイツ・ブラジル・日本共同作品「トレジャー」、留学経験を活かし、通訳・翻訳家としても活躍。
    演劇ユニット Platanus (プラタナス)メンバー。

自己紹介

出身は茅ヶ崎市西久保で、高校までずっと市内の学校に通学していました。その後、神奈川大学国際経営学部に1年在籍した後、大学の英語教員の勧めで、英国のロンドン・スターテック・ドラマスクールに留学することになりました。帰国後、演劇を本格的に勉強するため、米国サンフランシスコ州立大学演劇学部に留学しました。

僕が、演劇に興味をもったきっかけは、小学校の5・6年生の時に、演劇好きの先生と出会ったことです。その先生の授業を受けるうちに、演劇の面白さに目覚めたのです。

米国の大学を卒業した後、アメリカにとどまるか日本に帰国するか迷っていたところ、2011年3月に東日本大震災が起こり、帰国を決意しました。しかし、28歳という年齢が足かせになり、演劇の仕事を日本で見つけることはできませんでした。そんな時、小学校教員の母親が、「学校の演劇クラブの活動を手伝ってくれない」と声をかけてくれました。自分は、児童劇の経験はなかったのですが、クラブ活動を手伝ううちに、児童劇にハマり、そこから色々な出会いがあって、2017年に児童劇団C.C.C.THEATERを立ち上げることになりました。現在、小学校1年から大学2年まで、50名を超えるメンバーが在籍しています。これまでに7回公演を行いました。C.C.C.THEATERと並行して、子どもたちに演劇を見せる大人の劇団「プラタナス」もつくり、学校への出前公演を行っています。

演劇の教育効果

演劇には、非認知能力を高める効果があると言われています。試験の点数など数字に表せる認知能力に対して、非認知能力には、やり

切る力、自信、創造性、コミュニケーション能力などがあります。今の大人が非認知能力をどう伸ばしたかというと、プレイ(遊び)を通じてなんです。

僕が演劇活動の中で大切にしているのは「対話」です。会話(カンバセーション)と違い、対話はディスカッションに近く、バック転のように、何回も訓練しないと身につかない力です。もう一つ大切にしているのは、「言葉の裏を読む力」です。元気よく「おはよう」と挨拶した人の心は、もしかしたら悲しみにあふれているかもしれません。演劇活動を通じて、子どもたちは、言葉の裏を読む力を身につけていくのです。さらに、演劇には、他者への「共感力」を育てるという教育効果もあります。

演劇のつくり方 

舞台公演とは別に、16歳から22歳までの若者限定の「ショーケース」(集団で創造する演劇)を制作しています。台本は用意せず、例えば「嘘」というテーマだけを提示し、若者たちが互いに対話しながら、「嘘」をめぐる様々な「問い」の答えを探っていきます。答えを見つけることが目的ではなく、「問い」を掘り下げていくプロセスが大切なのです。僕は、若者に向かって、「公演時点での<答え>を舞台で表現すればいい。答えが、1年後に変わっても一向にかまわない。」と言います。演劇はプレイ(遊び)。とにかく、楽しんでやることが一番です。

グループワーク、全体会

講演後は、グループに分かれて感想を共有。全体会では、グループの発表内容を共有しました。


演劇にはどんな教育効果があるのか。舞台はどのようなプロセスを経てつくられるのか。
普段なかなか聞けない話に、参加者一同、熱心に耳を傾けていました。

記事投稿:S.Koyama