8/20「みんなで創る共生社会-多様なアクターの連携で、まちを元気に!-」開催報告

2022年4月に茅ヶ崎市でスタートした、新しい福祉施策(重層的支援体制整備事業)では地域の社会資源を幅広く発掘し、「世代や属性を超えて住民同士が交流できる多様な場」や「居場所」の整備を目指す、としています。

今後は「誰ひとり取り残さない」社会の実現に向けて、制度や分野の縦割り、支え手・受け手、という関係を超えて、行政・社協・市民活動団体・社会福祉法人などの多様なアクターが、連携・協働して地域共生社会を形成することが期待されています。本イベントでは市福祉政策課の担当者を招き、茅ヶ崎市の新しい福祉政策についてお話を伺った後、講義の感想の共有、及び事例検討のためのグループワークを行いました。


  • 日 時 2022年8月20日(土) 14:00~16:00
  • 会 場 ちがさき市民活動サポートセンター
    (茅ヶ崎市茅ヶ崎3-2-7)
  • 参加者 18名(定員20名/申込み23名)
  • テーマ 茅ヶ崎市の福祉政策を学ぶ
    ~重層的支援体制整備事業を中心に~スピーカー 
  • 白井 宏さん(茅ヶ崎市福祉政策課職員)
    プロフィール:
    市役所入庁後、生活支援課、保育課でケースワーカー業務に従事。現在は、福祉政策課で重層的支援体制整備事業を担当。プライベートでは2児の父、2か月に1回のゴルフを楽しみに公私ともに奮闘中。

講座概要

「地域共生社会」を目指すために、地域における様々な相談や悩みを受け止める「包括的支援体制」を作っていく必要があり、重層的支援体制整備事業は、個別の相談支援を通して、人と資源の循環を実現させるための事業という関係になります。

ここでいう「地域共生社会」とは、制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が 『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すものです。

「地域共生社会」と「包括的支援体制」が必要となってきた背景には、8050問題やダブルケアなど様々な分野の課題が絡み合って複雑化するケースが増えるにつれ、これまでの福祉サービスでは、対応が困難なケースが増えてきたからです。こうした状況の変化に対応するため、2017年から2020年にかけて、社会福祉法が改正され、今日の重層的支援体制整備事業がスタートしたわけです。

次の図は、地域における住民主体の課題解決力強化・包括的な相談支援体制のイメージを描いたものです。福祉行政を、住民への福祉サービスを提供することから、住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制づくりの支援へと重心を移行させることを目指しており、その体制づくりのために、福祉以外の様々な社会資源との連携・協働を行うことが描かれています。

言い方を変えれば、専門職の配置や地域福祉計画等の「制度」と、福祉教育等を通じた住民の「意識変革」が相まって、互いを支え合う地域共生社会を実現していくということです。

そのため、茅ヶ崎市では、地域包括支援センターに福祉相談室の一部機能を統合するとともに、今年4月に、福祉政策課内で福祉総合相談担当を新設し、相談員を配置することにしました。なお、重層的支援体制整備事業は、福祉政策課と市社協が一体的に運営することになっています。

次の図は、市の福祉事業の体制を示しています。大きく分けると、包括的相談支援、参加支援、多機関協働、アウトリーチ等を通じた継続的支援、地域づくり支援の5つのアプロ―チがあり、これらの施策を調整するために支援会議という会議体を設けています。

なお、対人支援にあたっては、「具体的な問題解決を目指すアプローチ」と、「つながり続けることを目指すアプローチ」の二つを両輪として、同時並行で進めていきます。

なぜなら、近年の相談は、図のように、複数の課題が絡まった状態で年数が経過するケースが増えているからです。

では次に、市外の取り組みを紹介します。
倉敷市では、生活支援コーディネーターが、人と人、人と情報、人と居場所などをつなぐコーディネーターとして活躍しています。鴻巣市では、空き家を改修して古民家カフェ兼コミュニティサロンを運営しています。
また、堺市では、老人会と町内会と「こども」がコラボして、寺子屋を運営しています。

最後に、茅ヶ崎市の相談事例を紹介します。
これまでに相談を受けた事例には、
1. ひとり親家庭の子どもの送迎(小学生)
2. 障がい者の理解、支援(学習支援・居場所)
3. 騒音苦情から地域参加
4. 8050世帯の支援
5. 若年性認知症の参加支援
6. 外国籍の方へ日本語学習・生活・就労の支援、などがあります。

本日の後半のグループワークでは、上記のうち、障がい者の理解、支援(学習支援・居場所)と、若年性認知症の参加支援の二つを取り上げたいと思います。

グループワーク概要

グループワークは5名で1グループをつくり、4つのテーブルに分かれて行いました。最初のワークでは、自己紹介と白井さんの講演に関する感想を共有。以下、アンケートからの抜粋です。

  • 実態の話を伺え勉強になりました。具体的にどうつながり、展開していくか。
  • 行政職員でも、“その仕事”をしていないと、制度や仕組みのことを知らないので、勉強になりました。
  • 重層的支援体制整備事業という言葉もですが、総合的にやっていこうとすることがわかり、良かった。
  • 横断的・縦断的なネットワークを深めていくことはとても大切だと思います。
  • 新しい市の体制が聞けてよかった。
  • 市の組織変更の影響は即反映するとは難しいと思われるが、今回の動きは大いに期待する。
グループごと活発に意見を交わす参加者のみなさん

2回目のグループワークでは、2つの事例(・ひとり親家庭の子ども(小学生)の送迎、・若年性認知症の参加支援)に関するワークシートが各グループに配布され、どちらかテーマを選んで、その解決策について自由に意見交換を行いました。以下、アンケート結果の抜粋です。

  • ・たくさん意見交換ができて、とても勉強になりました。今後もつながり、一緒に創るまちづくりを考えていきたいと思います。
  • やはり、話し合うことは大切だと思いました。
  • 若い世代が地域を活性化と言うが、何からどうやって行けば良いのかわからない中、きちんと目標を持って行っている方がいらして、刺激を受けました。サードプレイス。ひとり親だけでなく、繋がりの少ない核家族でも、同じ問題を抱えているなと思いました 。
  • 様々な活動をしている方の話が聞けて良かったです。若い方の参加もうれしかったです。
  • 色んな活動をしている人のいろいろな意見が聞けて、良かった。もっと他の人達の話も聞きたいし、交流できる機会があったら良いと思う 。

以上が、第1回SDGsネットワーク事業についての開催報告です。

NPOサポートちがさきでは、今後も、SDGsが掲げる諸課題の解決に向けて、多様なアクターが連携・協働するためのきっかけづくりの場を提供していきます。

記事投稿:S.Koyama